第53回宣伝会議賞 チャレンジブログ(グランプリ受賞者輩出)

日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」に挑戦する応募者10人のブログ。同企画初となる、チャレンジブロガーからのグランプリ受賞者(今野さん)を輩出しました。

「 サウスコルに立つと、人は死にはじめる。」


先月『  標高7000mからコトバが飛んでくる。』という記事を書きました。
普通の人間が行けば2分で意識を失い、そのまま絶命してしまうという過酷な山、エベレストについての話題でした。 《  詳しい記事はこちら  》

そんな興味の延長で、現在公開中の映画『 エベレスト3D 』を観に行ってきました。
1996年に実際に起きた大量遭難事故の記録に基づく作品です。

 

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先月、登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂にチャレンジしたのに合わせて、その直後に公開されました。
きっと、封切の直前に単独無酸素エベレスト登頂という偉業が達成されれば、日本中が栗城フィーバーに沸き、本作の注目度も一気に高まると読んだのでしょう。
しかし相手は、あのエベレストですから、人間の思惑通りにはなりません。



IMAX専用シアターといえば、数年前に宣伝会議賞の課題にもなっていましたね。
僕にとっては、初めてコピーを応募して、初めて全滅した、記念すべき年でした。
その時の三次審査通過コピーの中に、

感想が、まるで体験談。

という作品がありましたが、実際に、このコピーの通りの気分になりました。

 

「 サウスコルに立つと、人は死にはじめる。」

これは、主人公の登山家がサウスコル( 標高 8000m )より上に登ることの過酷さを表したセリフです。
まだ映画の序盤だというのに、いきなりシビレてしまいました。
このセリフを聞いた瞬間(正確には字幕を読んだ瞬間)に、IMAX専用シアター代  +   IMAX専用3Dメガネ代  =  2600円 が安く感じられました。

この映画館に向かう途中、実は、エベレストの過酷さを言葉で表すとしたらどう言えるかコピーらしきものを考えたりしていたのですが、どうしても陳腐な言葉しか浮かんで来ませんでした。
その答えが突然、スクリーンの中から飛び出して来たのです。
さすが3Dです!


標高8000mのデス・ゾーンに足をふみ入れると、気づかぬうちに、自分が自分でなくなってしまう。
この世に、それ以上の恐怖はないと思うのです。
この作品はまさに、たっぷり2時間をかけて、登山家たちがジワリジワリと死にはじめる映画でした。
途中で 「 これどうせ映画の世界なんだから 」 と言って逃げ出したくなっても、もう逃げようがありません。
なにしろ、すべてが実話なのですから。

帰り道、たまたま僕のうしろを歩いていたカップルが、こんな会話をしていました。

「  なんか、もう、面白いとか面白くないとかじゃなくて、スゴイね。」