このチャレンジブログに応募するとき、志望理由の欄にこんなことを書きました。
「 建築とコピーは、考え方が近くて、兄弟のような関係にあると思います。」
そう考える理由は次の通りです。
【 建築 】
⇒ 物理の法則に従う構築物である
⇒ コンセプトに基づいて、素材を選び、組み上げる
⇒ 意図した通りに機能する
⇒ ターゲットを設定し、その五感に訴える
⇒ 行為を誘発する
【 コピー 】
⇒ 心理の法則に従う構築物である
⇒ コンセプトに基づいて、言葉を選び、組み上げる
⇒ 意図した通りに機能する
⇒ ターゲットを設定し、その五感に訴える
⇒ 行為を誘発する
コピーについて完全に独学の自分にとっては「 建築とコピーは兄弟である 」 という考え方は、とても頼りになる仮説です。
もしこの仮説が成り立つなら、たとえば建築設計に関する様々な方法論についても、「 建築 」という言葉を「 コピー 」という言葉に置き換えて読み直すことができるかもしれません。
建築の世界の知識を、コピーの世界の知識に移し替えながら、自分で自分にコピーを教え込んでみたいと思っています。
「 自分で自分にコピーを教える 」という方法の、具体的なプロセスを紹介します。
まず、建築設計を学ぶ学生たちに向けて、こんな話をします。
たとえば住宅を設計しようとするときに、決して、いきなり家の図面から描き始めてはならない。それよりも、まず最初にやるべき作業は「 自分にとって家とは何か 」ということを徹底的に考えること。
同じように、美術館を設計するときは「 自分にとって美術館とは何か 」を考え、劇場を設計するときは「 自分にとって劇場とは何か 」を考える。そして、自分の中にその答えがぼんやりと見えてきてから、次に、具体的な設計作業に入ること。
こう話しておかないとどうなるのかといいますと、学生達は、いきなりリビングを設計したり、玄関を設計したり、浴室を設計してきたりしてしまいます。
つまり、自分にとって楽しい「 部分のコンセプト 」にすぐ飛びついてしまうのです。
しかし、そのような断片の積み重ねからは、決してユニークな家は生まれません。
部分よりもまず最初に、家とは何かという「 全体のコンセプト 」が必要です。
この話を、コピーの世界に移し替えてみます。
たとえば『 100%耐震の家 』の課題を考える場合には、自分で自分に次のように教え込むことができます。
『 耐震の家 』のコピーを考えるとき、いきなり家について書き始めてはならない。
まず最初にすべきは、「 自分にとって耐震の家とは何か 」を徹底的に考えること。
そのイメージがぼんやりと見えてきてから、次に、具体的なコピー作成に入ること。
こんなふうに教えてくれる自分に対して、自分なりの答えを用意していきます。
自分にとって、耐震の家とは‥‥
・家族のひとりひとりが、耐震できる家です。
・家族みんなの防災拠点です。
・大きな窓のある明るいシェルターです。
・避難場所に住んでいるということです。
・大切な家族アルバムを守ってくれるケースです。
・建築計画に防災計画を加えた、現代住宅の完成形です。
・災害時に、隣の家に迷惑をかけないためのエチケットです。
・ハザードマップに貢献できる家です。
・都市の防災計画の考えに不可欠な家です。
・災害から街を守ってくれる存在です。
・いざという時、近隣住民の避難経路を確保してくれる家です。
・有事の際、緊急輸送路を確保してくれる家です。
・どんなに小さくても、構造計算書のある家です。
・決して消えることのない資産です。
・「 不動 」産です。
・住み方を、生き方に変えてくれる家です。
耐震の家とは何なのか、その答えがぼんやりと見えてきました。
このあと具体的な作業に入り、それぞれの視点について5本ずつ程度書き進めることが出来れば、合計で50本以上のコピーが得られるはずです。
「 建築コピー兄弟仮説 」からスタートして、学生に建築を教えるように、自分にコピーを教え込んでゆくプロセスを紹介しました。
今は、この仮説を頼りにしながら、いろいろ試してみるチャレンジそのものを楽しむようにしています。